全国労働組合総連合が2019年に発表した「全労連介護労働実態調査」によると、介護職の約3割が、1ヵ月あたりの残業は「なし」と回答している。
このことから、介護職の約7割は残業していることがわかる。
ちなみに、「残業がある」と回答した介護職の1ヵ月の平均残業時間は、5時間未満が最多だ。
他の業種より特別多いわけではないが、中には40時間以上残業している介護職員もいるため、この数字に信憑性があるとは言えない。

原則として、介護職をはじめとする労働者は残業を拒否することができない。
しかし、「育児・介護を行わなければならない」「体調不良」といった正当な理由がある場合や、そもそも残業が違法である場合などは断ることも可能なのだ。
ただ、皆が残業している中、残業を断るのはなかなか難しいだろう。

残業を回避するには、そもそも残業が発生しない状況を作り出すことが重要だ。
就業時間間際にバタバタしてしまうことがないよう、面倒なことは早めに終わらせておくと良いだろう。
早起きが得意であれば、少し早く出社する方法もある。朝の方が集中しやすいので、作業効率もアップするだろう。
また、一人で仕事を抱え込まないことも大切だ。
職場の仲間と協力して一つ一つのことを着実に終わらせていけば、スムーズに仕事をこなせるだろう。
もちろん、手伝ってもらった時は、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えなければならない。

こうした努力をしても残業せざるを得ない場合は、職場の勤務体制自体に問題があると言える。
無理をしすぎて体調を崩しては元も子もないので、思い切って転職するのも一つの方法だ。

介護職は仕事がハードで労働時間が長いというイメージが強いが意外なことに残業時間は思いの外少ない。
介護労働実態調査によると正職員の半数近くが1週間で超過勤務ゼロという調査結果も出ている。
この結果だけみると介護業界は残業が少なくて良いなと思うかもしれないが、残念ながら超過勤務の少ない施設ばかりではない。

特に超過勤務が多いのが特養・有料老人ホームなどの入所型施設である。
入所型施設は入居者を24時間ケアする必要があるので入居者の容態が急変して残業というケースが多くなるためだ。

これは施設の運営上仕方がないことでもあるが、中には夜勤明けで疲れ切っている職員に介護記録作成などの雑務を課す施設もあるので注意が必要である。
本来、夜勤明けで疲れ切っている状態での超過勤務は禁止にしている介護施設が多いが、人手不足の施設の中には夜勤明けに超過勤務をさせたり、そのまま日勤に入らせたりと職員を酷使する施設もあるのが実情だ。
もちろんこのような介護施設は例外的で、介護業界全体でみれば超過勤務は少なめなので、超過勤務の少ない介護施設で働くことは可能だ。
その為には、人手不足で労働環境の悪い介護施設を避けたり、比較的超過勤務が発生しにくいデイケアなどの通所型施設を選ぶなど、残業が少ない施設の求人を探すことが必要である。

労働環境の悪い介護施設は常に求人を出していたり、求人票の待遇が異常に良かったりするので注意したい。
また、介護に強い転職エージェントから施設の労働環境など求人票からは分からない情報を貰うのも有効である。